空に咲く色

夏祭りinヴァナ終了。
夜毎の打ち上げ花火がなくなるのは寂しいやら落ちつくやら。


最後の花火は東サルタで見た。
チョコボでサルタに入ったら、遥か遠く正面に打ち上がる花火に迎えられた。
あそこが町だ。
木の茂るロンフォや、岩山が遮るグスタだったらこうは行かない。
不覚にもやや感動してまっすぐ花火に向かい走り出した。


近付くにつれ少しずつ大きくなる花火。
目標なんかなくてもサルタで方向を間違えたりはしないが、目指すものがある事の妙な高揚感。


走りながら、大学時代の夏のサークル合宿を思い出していた。
田舎道を仲のいい4人で車を走らせていたら、そう遠くなさそうな距離に虹が見えたのだ。
お金も安定もない代わりに時間と行動の自由と体力だけはたんまりあった私達。
あの虹の下に行くぞ! と頭の悪い盛り上がりを見せ、見えなくなるまでその虹を追った。


水蒸気に反射するプリズムに真下はまずない。
それが判っていてもいなくても、誰もそんな事は言わなかった。
そのバカっぷりが財産であることを、当時の私達は頭では判らずとも、それを自ら手放す必要のない事だけは知っていたのかもしれない。


ウィン入り口に着くと、どうやら打ち上げポイントがエリアにちょっとはみ出ていたらしく。
門の手前あたりに思いついたように火球が生まれてはひゅっと上がって行くのが見えた。
これは面白いと思ってチョコボのまま火球を追っていたら、しばらくしてふっと消える花火と祭囃子。


0時。


技術の力でついに虹に追いついたけれど、やっぱりいつかは消えていってしまう。
そんな青臭い寂寥感に捕らわれ、道連れのチョコボから降りられなかった。


珍しくLSリストに一人ぼっちだった夜のちょっぴりメロウな一幕でありましたとさ。