孤独な頭脳

kashmi_r2005-02-27

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

S(犀川)&M(萌絵)シリーズ第一作にして、森博嗣デビュー作。


私はミステリーを読み慣れていないのであまり多くは言えないが、謎解きのペースというか密度が、ややラストに偏り気味のような気がした。 いや、単に私が中盤前後で提示される情報に正しく反応できていないだけという可能性の方が高いが(笑)


故に、ここからは表層的・断片的な感想。
”理系”な思考回路を感覚として理解できる人種でよかった、と言うか。
犀川の、どこまでも直線的でシステマチックな行動様式や思考形態に痛快な共感を感じるし、プログラマの経験があるからこそよく判る恐怖も味わうことができた。


同じ「天才」をメインに据え、その一種異様な行動を芯に組み込んだミステリーだからか、作品を通して現れる作者の志向性が西尾維新とよく似ていると思った。
天才というものの扱い方や、主人公の簡単に言うならドライな性質(人情や様式美を邪魔で厄介なものと考える、自分に不必要なものをすっぱり切り捨てる等々)に少なからず同じものを感じるし、すなわちそれがこの二人の作家が共通して持つスタンスの一部なんだろうなとも思う。
そして、それは私にはとても好ましい。


私は森博嗣スカイ・クロラシリーズから入ってメロメロにされた口なので、この作品にはガツン分がやや不足していたというか(笑)、萌絵の人物像が今一つ馴染まないというのもあって、えーと幸い文庫にもなったから余裕ができた時にぼちぼち攻略していこうかなと。 犀川さんは好きなので。 なんかシリーズラストがえらいことになっているらしいので。 と解説で瀬名氏が言っていた。


つーかまぁ、多分このへんがダンナと経典が違う所なんだろーなー(笑)
うちはダンナの本棚が少女寄りで、私が少年寄りという深くて暗い溝がこう。 どよーんと。
人間とはないものねだりをするものなのだなぁと。


しかしここんとこ、書かずに読んでばっかだ。
本末転倒。 いやいや充電期間ということで。
プロットのツメが決まらなくて逃避してるとかそういうこと言うな。