危ないかもな、とは思っていた。

のどかnobody (1) (単行本コミックス)

のどかnobody (1) (単行本コミックス)

温泉旅館のビフォーアフターというコンセプト。
天才建築士の主人公のどかが、客足が遠かったり問題のある温泉旅館の改築を見事なアイディアで請け負い盛り返す……お話なのだが。


惜しい、実に惜しい。
題材はそこそこ目新しいのに、哀しいかなキャラが深くない。
主人公が「苦労」していない。 いやしてるはしてるんだけど、そこがさらっと流されちゃってる。
助手の子も単なる型どおりのにぎやかしキャラで、しかも言われるまで女の子と判らなかった。
あれだったらいっそ主人公を際立たせる為に助手はクールな男の子とか……それは私の趣味ですかそうですか。


改築・改善のアイディアも、平凡な温泉ホテルの客寄せとして、大きな水道水混合温泉から小さくても天然湯100%のかけ流しにしただけだったり(あれじゃどう考えても客を捌ききれない)、この湯には檜が合う、でも予算がないというケースで、芯はステンレスでそこに檜を貼るという手段を採ったり。
それぞれのエピソードに絡めた人間模様とかはまぁ、そこそこなのですが。
なんつーかこう、いまひとつ「なるほどー!」という爽快感に欠けるのだ。


作者の温泉に対する愛情が感じられるだけに、心底惜しい。 もう一ひねりした題材と取材と、主人公をうまく苦労させ乗り越えさせて深みを与えれば……いいかもしれないなーと思ってみたりみなかったり。 言うだけ言って最後は弱気なおれ。