とっぱらえ

kashmi_r2005-02-14

西尾維新という作家を知った。
情報ソースはいつもお邪魔している本屋のほんねさんのレビュー。 ここはてなでもキーワードとして割とメジャーらしい。


まずクビキリサイクルを買ってきた。 先に言っておこう、まだ読んでいない。
買う前に本屋でサイコロジカル上巻の冒頭だけパラっと覗いた。 最初の数行を読んだ。


「ギャーーーーー!!」と叫んで本を壁に叩き付けたい衝動に襲われた。
とびきりの笑顔で、でも涙目で。


ああなんと楽しそうに言葉と戯れているんだ。 ああなんと手抜かりの無い自由だ。


(脳内で)本を拾って、あとがきを読む。
「この話にテーマはありません。 ひたすら戯言を連ねて突き進むのみです」といった趣旨のことが書かれていた。


その場にぶったおれたくなった。 内臓をかきむしりたくなった。
テーマがない、目標地点がないまま書くなんて、それは一体どういう所業なんだ。


いろんなレビューを読んで、ある種の予感はしていた。
読む人を選ぶとか、文章の形を取ったマンガだとか、嫉妬すべき読ませる才能だとか。
面白い、と思ってしまったら泥沼だ、という予感がしていた。
そしてその予感は、どうやら当たってしまったらしい。


お話を書き始めたばっかりでテーマやら起承転結やら文章の書き方やらを吸収している真っ最中で、でもそれに縛られてしまいそうで。
例えるなら野生のライオンを育てているような毎日を送っている私には、この作品の存在は恐怖と羨望の対象以外の何物でもない。
テーマがなくても、目標地点がなくても進む話。 文学っぽい文章でもなく読ませる話。
私にはそれは、心臓を抜かれてなお楽しそうに踊る人間のように見える。
動力源がなくても動くマシンのように見える。
恐ろしい。 得体が知れない――惹かれてならない。


とっぱらえ。
作法の、常識の、人の目の、理想の、王道の――自分自身の。
垣根をとっぱらえ。


全部、身につけた後にな。



既に言ったが、まだ読んでいない。
だからこれは過大評価かもしれない。 どこか間違ってるかもしれない。 でも書いておく。
最初の数行で、ガツンとやられたから。
今となってはハマりにハマっているアジカンの、私にとって最初の一曲目「フラッシュバック」を聞いたときのガツンと、同じだったから。