余計なお世話を長々と。

ちょっと前に書いていた、ヴァナ恋愛(を含むFF日記)のサイト。
どうやら破局を迎えたらしい。
その顛末などの長い文章があった。


私が茶化そうとしていたゲームがどうの幻想がどうのというネタからはやや遠く、ま、ありがちといえないこともない結末。
とはいえそれはそれで思うところもあったので、誰にも公にしていないのをいい事に今日は「完全によけいなお世話の独り言」を垂れ流してみる。 しかも長距離で。


彼は、明らかにDV予備軍だった。
彼女は、そういう男にばかり惚れてしまう、何かが欠けた哀しいタイプだった。


彼は、彼女に
「一切反論しない」「文句を言わない」「なんでも相談する」
の3点を約束させた。
彼女の素の行動も嫌い、禁じた。 言葉遣いや口答えなど。
それに対して彼の約束は「殴らない」。 これだけ。 わざわざ約束するまでもなく、ごく当然の常識だ。
彼女が前の彼に殴られた過去がある事かららしい。
そして驚くことに彼女はこれらを呑んでいた。
こんなもの、個を認めた人間に対する扱いではないにも関わらず。


彼女は彼の望むまま己の尊厳を捨てることで、彼の恋人という地位を手に入れていた。


反論しない、の理由付けは「最後には俺が守るから、お前は戦わなくていい。 何かあったら俺に言え」というもの。
ああ何と聞こえがいいのか。 しかしこれは奴隷と同じだ。
相手の判断力・思考力・自立する力というものを全く信頼せずに根こそぎ奪う、飼い犬の牙を折るような、「守る」という甘言で酔わせ自分の操り人形にする行為だ。
彼女はただのイエスマン。 ただのお人形さん。
AIBOだって機嫌の一つも損ねて主に手間をかけさせるというのに。


彼は、自分を否定されることに耐えられない人間だったようだ。
優しい一面もあったらしい。 彼が幼い頃、母親が落ち込んでいればマリオの残機を増やしてみせて励ましたり、今でも何かあれば好物を買って帰ったりしていたという。
しかし同時にしばしば母親に対して爆発することもあったそうだ。 そして内容全体から鑑みるに、それは「自分を咎められた時」ではないかと思う。
だから自分に責のないことでは優しくなれても、その矛先が自分に向けられたとたんそれを受け入れられずに怒り狂う。
人として致命的な欠陥だ。


そして恋人同士のいさかいなど、その原因のほとんどは相手の自分に対する行動や考えについての衝突と相場が決まっている。 そしてそれは二人がよりよい関係に近づくために時として必要なプロセスだ。
これを相手に禁じるなど、恋人以前に人間関係として不健康極まりない。 言ってしまえば、ありえない。 相手に何の精神的自由も与えない、独裁者の思想統制と何ら変わりない。


彼女は、彼を「見守りたかった」と言う。
彼は嫉妬や策略渦巻く世界である程度の地位にあり、神経をすり減らし殺伐とした気持ちで仕事をしているそうだ。
それを見守り、黙って包み、信頼に値する人間関係もあることを感じて欲しかったと。
しかしそれは、その人に「奴隷」と認識されている人間には不可能だ。 何しろ彼がそれを望んでいないのだから。
奢りだ、とは言わない。
しかし、上記3つの条件を諾々と呑んでしまうような「屈服する」行動をしてしまった時点で、二人の間に「主従関係」が確立していたという致命的な事から、彼女は目を逸らしていた。


黙って見守る、というのは、親子の場合を除き、相手を芯から信頼できて初めて可能な事だと思う。
この場合の信頼とは、相手も自分を味方だと思ってくれているという確信であり、信頼している自分に答えるべく努力をしてくれるという確信である。


彼は、彼女を、個として認めていない。
苦言を封じ、否定を認めず、そして自分に対して無条件の忠誠を求める。
彼女を雇用している訳でも、だからといって神でもない、不完全な人間の分際でだ。 いや神だって人間に牙を剥かれることがある。
そんな二人に健全な信頼関係が成立するだろうか。
自分をわがまま放題気分のままに振り回す相手を「見守る」など、親でもなければまず無理だ。
だから、彼女は度々禁を犯してしまう。 彼の意に染まない口出しや反発をしてしまう。 歪みが大きくなっていく。


最後のきっかけは、電車の中での会話だった。
彼が彼女の中学時代のことを、繰り返しバカにして笑ったらしい。
それに対し彼女がとうとう我慢できず「超ウゼェ」と言ってしまう。


これで終了。
何と脆弱な関係か。


電車から降りても、彼女は謝り続ける。 聞く耳を持たない彼。 彼女が何を言っても「ついてくるな」「うるせぇ」「何だそのツラは」と乱暴に遮る。
再度彼女に限界が来た。 彼の「うるせーな」に、彼と同じように「うるせーな」と被せて遮った。
恐らくこれが彼女の本当の気性だろう。 彼が認めようとしない、お気に召さないもの。 彼の「お人形」には不必要なパーツ。


その瞬間彼はすさまじい形相で振り向き、彼女の背後の鉄柱を力いっぱい殴った。
殴らない、という約束を守ったつもりだろう。
しかしこんなもの、実際殴ったのとどう違うというのか。
俺が守るから反論も文句も思考も不要、と言った張本人が、攻撃しているのだ。
少女を誘拐してきて何年も監禁していた事件を思い出した。


しかし、その文章からするに彼女は、ここまで私が述べたような事の約9割方は理解認識していると思えるのだ。


それでも同時に彼女は、まだ謝ろうとしている。
彼が「許してくれる」ことを望んでいる。
私から見れば、謝るのは彼の方なのに。
この哀しい矛盾は誰もが陥る恋愛の脳内麻薬のせいか、はたまたこれこそが彼女の「障害」か。


本当に彼を見守る人間になりたかったなら、彼女は彼を諌める力を持たなければいけなかった。 最低でも、対等であらねばならなかった。
イエスマンなんか金でも買える。 本当に相手の為になるのは「鏡になってくれる存在」だ。
彼女は褒め言葉しか言わない「魔法の鏡」になることで彼の手元に留まったために、一言「いいえ」と言っただけで不要とされ、割られてしまった。


またはそうでなければ、完全な奴隷になるべきだった。
自分の考えなどハナから持たず、彼が正しいと、彼のすることが全て自分の為になると信じ、疑うことなど考えもしない奴隷に。


彼らはこれからどうするだろう。
彼女はログインして待っていた。彼はそれを察知してすぐに落ちた。
彼女はせめて友達でありたいと思っている。 しかしその安っぽいプライドをボロボロにした女を、彼が以前と同じように扱うだろうか。


何が許されるのか、許されないのか、許してはならないのか、許してまで続けるべき恋愛など存在するのか。
彼らには矜持というものがなかったと、私は思う。
彼は自分を思ってくれる女性達を足げにし、何の罪悪感もないという点で。
彼女はそんな男の罪悪を見抜く事よりも目先の恋愛にしがみつき、プライドゼロの行動で自身を貶めたという点で。


ウチのダンナはそんなじゃなくて、本当によかった。
私の男を見る目は間違ってなかった。
恋愛はやはり、「類友」なんだな。
と、収集がつかなくなったのでこのようなノロケでシメてみる。