彷徨う確率論

kashmi_r2005-02-22

LSのヒュム赤さんが、アルテパから動かない。


スパイダートルクを落とすクモのNM、Dune Widowを張っているのだ。
砂漠の未亡人。 何とも味のある名前である。


しかし豊満な体と細い足で熱砂の上を放浪する彼女は、熱烈なラブコールを送る彼に対して何ともつれないようだ。
ほぼ毎晩のように通い詰め、一週間、二週間。 見えども触れ得ぬ(ドロップせぬ)、難攻不落の未亡人。
時には一人で逢いに行き、時には友人の橋渡しを試み。 それでも頑なな彼女はいつも言葉一つ残さず、すげなく陽炎の向こうに消えて行くばかり。
始めは彼が砂漠にいるのを見つけては声援を送っていた友人達も、逢引きの回数が30回に迫ったあたりからは軽口も叩けず、ただ祈りながらひっそりと見守りだした。


そして先日。 ついに彼に春が訪れた。
一ヶ月を超える熱心な彼のアプローチにようやく彼女は微笑みを返し、首にかけたトルクを外すと彼の差し伸べるその手に載せたのだ。
その瞬間ログインしていなかったことが悔やまれてならない。 できることなら速攻で駆けつけて、クラッカーの一つでも鳴らしてあげたかった。


戦闘回数、実に40回。
蜘蛛の網でひと財産築けるほどの日々を通い詰めた彼の首には、貞淑な婦人からの贈り物が静かに輝いている。
そして1/40の長期戦を闘い抜いたアルテパ砂漠を遥かに見やる彼の瞳には、気だるいカタルシスのその奥に仄かなノスタルジーが隠れているように、私には見えた。